司法書士による無料電話相談はこちら

お知らせ

  • TOP
  • お知らせ
  • 結婚の自由をすべての人に訴訟・東京第二次訴訟控訴審判決に対する会長声明を発出しました

結婚の自由をすべての人に訴訟・東京第二次訴訟控訴審判決に対する会長声明を発出しました

2026.01.22

結婚の自由をすべての人に訴訟・東京第二次訴訟控訴審判決に対する会長声明

全国⻘年司法書⼠協議会
会⻑ 加藤 圭

 本件は、民法及び戸籍法上の諸規定(以下「本件諸規定」という)が、現行の法律婚制度を利用できる者を異性の者同士に限定しているのは、憲法24条1項、2項、14条1項に違反しており、国が正当な理由なく長期にわたって同性の者同士の婚姻を可能とする立法措置を講ずるべき義務を怠っていることから、国家賠償法の適用上、違法の評価を受けるとして、原告らが慰謝料の請求を求めたところ、原審は原告の請求をいずれも棄却したため、これを不服として控訴した事案である。
 これについて、令和7年11月28日、東京高等裁判所第24民事部は、本件各控訴をいずれも棄却する判決を言い渡した。
 当協議会は、本判決がセクシュアルマイノリティ当事者の置かれている状況を誤認し、人権を軽視したものと言わざるを得ないと考える。
 本判決では、憲法14条1項については、本件の区別取扱いが「事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づかない差別的取扱い」に当たるか否かを判断するにあたって、法律婚制度が「一の夫婦とその間の子」の結合体を基本的な家族の姿として想定する制度設計に立って構築されたものと解している。この「一の夫婦とその間の子」という考え方は、子どもがいない夫婦やシングルマザー・ファザーのご家庭なども含めて排除するような考え方である。そして、この制度設計に立って具体的な婚姻の要件及び効果を定めるという本件諸規定の立法目的は、現時点においても合理性を有していると判断した。本件諸規定の立法目的が現時点においても合理性を有していることの理由として、「生まれる子の側からみれば、100%近くが夫婦の間の子として出生して養育され」ていることや、「憲法が、その前文において『われらとわれらの子孫のために(中略)この憲法を確定する。』とうた」っていること、「男女の性的結合関係による子の生殖が、今なお世代を超えて国民社会を維持する上で社会的承認を受けた通常の方法である」こと等から、異性の者同士にとって有用であると述べている。これは、同性婚が認められたとしても異性間の婚姻やその間に生まれた子にとっては何らの不利益も生じないことを鑑みれば、極めて差別的であり整合性がなく不当な理由付けである。そもそも、憲法前文は、憲法の制定者である国民が「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を宣言しこれらを恒久的に維持していくために制定されたものである。憲法前文の趣旨から明らかなように、憲法前文は、セクシュアルマイノリティの同性婚の権利を排斥できるという人権制約の根拠となるものではない。かえって、セクシュアルマイノリティの「基本的人権の尊重」を無碍にしており、解釈に誤りがあると言わざるを得ない。
 さらに本判決では、性自認等による差別の解消を目的とする立法の不作為が14条1項に反するかどうかについて、当該立法は国会が差別の実情を踏まえつつ選択決定するものであるところ、立法が全く取り組んでいない状況にはないこと、限られた訴訟資料を根拠に憲法違反とまで断じることは困難であるとして司法の責任を放棄している。立法の不作為によって生じている問題にもかかわらず、立法に委ねるとして司法の責任を放棄することは人権を軽視するものである。
 また、契約書の作成によって代替制度があることや自治体のパートナーシップ制度の導入、令和5年の最高裁決定により性別適合手術なくして性別の変更ができること等の事情も挙げているが、前記事情があるとしても、婚姻できる場合と比較して、当事者に大きな精神的、経済的負担がかかっている問題があるという実情を誤認している。むしろ、社会的理解が進んでいることや、それに応じた制度が作られていることは、所謂同性婚を社会的に認められた権利とすることの根拠とすべき事柄であり、それを認めないことの根拠とするのはまったく不当である。
 当事者にとって、婚姻は法的な効果を得られる手段というだけでなく、異性間と同じように法律婚の選択ができるということは個人の尊厳に関わる重要な利益である。本判決中に、事実婚として保護されている部分もある旨の記載があるが、異性間のように「婚姻するかどうかを選択できる」という前提の上で事実婚を選択する場合とは異なり、婚姻自体ができないということは制度から排除されていることに他ならないのであり、本判決においてその観点が欠けていたことは極めて遺憾である。
 一方で、本判決は国家賠償法上の違法の有無の検討においては、性自認等に従った法令上の取扱いを受けることは重要な法的利益であるから、このままの状況が続けば憲法13条、14条1項との関係で憲法違反の問題を生じ得るとしている。これまで5つの高裁で違憲判決が出されていることの意味は極めて大きく、本判決は合憲とされたものの、既に憲法違反の問題が生じているといえる。よって国会は、すべての人に対する婚姻の平等の実現に一刻も早く取り組むべきである。
 当協議会は、司法に対して、当事者の置かれている状況を正しく捉え、責任を果たすことを求めるとともに、国会には、直ちに同性の者同士の婚姻の実現に向けた措置を講じることを重ねて強く求める。そして、全国各地で開催されるプライドパレードへの参加や相談活動によって、セクシュアルマイノリティ当事者の生の声を聞き、当事者の個人の尊厳が守られる社会の実現のために、今後も全力を尽くす所存である。