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家族法に関する民法等改正法の施行にあたり子どもの権利が擁護される社会の実現を目指す会長声明を発出いたしました

2026.04.01

家族法に関する民法等改正法の施行にあたり子どもの権利が擁護される社会の実現を目指す会長声明

全国青年司法書士協議会
会長 岩田 豪

 令和8年4月1日、民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)が施行された。本改正は、父母の離婚後等における子どもの養育の在り方を見直し、これまで十分に顧みられてこなかった子どもの権利の擁護を図ることを目的とするものであり、父母が子どもに対して負う責務が明確化され、親権は子どもの利益のために行使されなければならないことが明らかにされた点に、大きな意義がある。一方で、本改正は、以下に述べるとおり、子どもの権利に大きな影響を及ぼす内容を含むことから、当協議会は、子どもの権利擁護という立法の趣旨が確実に実現されるよう、社会全体における支援体制を構築することが不可欠であると考える。
 まず、本改正においては、社会問題となっている養育費不払いの解消に向け、法定養育費制度の創設や養育費の先取特権化など、支払い確保のための施策が講じられた。改正法施行にあたっては、離婚届の記載事項の改正、法定養育費および先取特権が及ぶ金額等について省令改正が行われており、今後、その金額の妥当性を検証するとともに運用の動向を継続的に注視する必要がある。特に法定養育費は、父母双方の協議等により養育費の取決めがなされるまでの暫定的な制度である。そのため、法定養育費の額が実務上の基準として固定化され、当事者間の適切な協議や個別事情に応じた取決めを妨げることのないよう、慎重な運用が求められる。また、取決めの推進に加え、養育費の不払いが子どもの生活を直撃しないよう、自助に委ねるだけでなく、行政による立替払等を含む更なる支援策を講ずることが必要であると考える。
 次に、本改正においては、共同親権の導入を中心とした離婚後の親権者に関する規律の変更が行われた。共同親権の導入にあたっては、子どもの利益・権利擁護の視点、およびDV被害者等の保護の観点が十分に確保されるべきであり、当協議会はこれまで、これらの観点の欠如を理由に拙速な導入に反対する立場を一貫して表明してきた。これまで、関係府省庁等連絡会の設置やQ&A形式の解説資料整備等の施行準備が進められたとは承知しているものの、改正内容および解説資料の周知はなお十分とはいえず、関連機関の窓口等での混乱が懸念される。混乱の中で、置き去りにされるのは声をあげにくい子どもたちである。施行時の混乱を最小限にとどめることはもとより、将来にわたって「子どもの意見表明権」をしっかりと担保していく必要がある。したがって、当協議会は、共同親権を含む離婚後の親権者に関する規律の運用において、子どもの意見が尊重されるとともに、DV被害者等の安全・安心が確保されるよう、行政の相談・支援体制の充実と丁寧な運用を徹底することが必要と考える。
 当協議会は、平成27年以降、毎年「全国一斉養育費相談会」を開催し、常設の養育費相談ダイヤルの設置、面会交流フォーラムの開催など、子どもの権利擁護に資する活動を継続してきた。相談会には、「もう少し母子家庭に寄り添ってほしい」「共同親権が機能するのか不安だ」など、当事者の切実な声も寄せられている。
 以上のことから、当協議会は、子どもの利益を最優先とする本改正の趣旨が、関係機関の実務および父母の養育の現場において確実に実現されるよう、社会全体が一体となって、子どもの生活と権利を断固として守り抜くための仕組みを早急に整備するとともに、新たな制度の周知徹底、運用状況の継続的な検証と改善を行うことを強く求める。
 本改正法の施行により、離婚を端緒とする子どもたちを取り巻く環境も大きく変わるものと思われる。当協議会は、今後も当事者の生の声を聞き、離婚を経て新しい家族の形をとる父母を尊重し、同時に子どもの権利が十分に守られる社会の実現のため、権利擁護活動に取り組むことを改めて決意する。