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不動産登記規則の一部を改正する省令案に関する意見を発出いたしました

2026.02.04

不動産登記規則の一部を改正する省令案に関する意見

2026年 2月 2日
全国青年司法書士協議会
会長 加藤 圭

 当協議会は、標記の件について、次のとおり意見を申し述べる。

【意見】本省令案に反対する。本省令案の改正を行うためには、先に不動産登記法(平成16年法律第123号)第1条の改正を国会で審議すべきである。

【理由】
 現行不動産登記制度の根拠となる不動産登記法第1条は、「不動産の表示及び不動産に関する権利を公示するための登記に関する制度について定めることにより、国民の権利の保全を図り、もって取引の安全と円滑に資すること」を目的としている。
これに対し、本省令案は、外国人による不動産保有の実態を把握することを目的に、登記所において所有権の登記名義人の国籍を把握するため、検索用情報の申出手続等を定めた不動産登記規則(平成17年法務省令第18号)の改正を行おうとするものであり、これは同法第1条で定める目的には無い、新たな目的を追加するものと言え、行政法規の成立上問題がある。
 そもそも検索用情報の申出とは、令和7年4月21日から順次受付が始まったものであるが、これは令和8年4月1日から施行される登記記録上の所有者の氏名や住所の変更登記の義務化に伴い、所有者の登記手続きの負担軽減のため、登記官が住基ネット情報を検索し、これに基づいて職権で登記を行う「スマート変更登記」が開始され、そのために検索用情報の申出が必要と説明されているものである。具体的な活用方法としては、不動産の所有者となった者が届出た氏名、住所、生年月日等の情報をもとに、登記官が住基ネットを検索し、変更事項があれば、職権で変更登記を行うとされている。
 登記名義人を特定する要件としては、原則①住所、②氏名であるが、同一住所・同一氏名の人物がある場合には例外的に③生年月日を用いての特定で足りるところ、さらに国籍を用いて特定しなければならない不都合が、現在の所有権登記名義人住所・氏名変更登記の審査において多く見られているというのであればともかく、そのような事態が発生していないのであれば、国籍を申し出る必要は何ら生じない。
 また、そもそも住基ネット検索は国外居住者については適用外である。適用対象である国内居住者で、登記名義人特定に①住所②氏名③生年月日のほかに国籍が必要な場合であればまだしも、国外居住者の国外住所間での住所変更においてはスマート変更登記が及ぶ範疇外であり、申出事項に国籍を求める意味がない。
 本省令案のように、不動産登記法の改正もせずに、不動産登記規則のみを改正、施行させようとすることはわが国の法制度のあり方を揺るがす行為と言え、司法書士法第1条において「法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もって自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命」としているわれわれ司法書士、その司法書士がつくる全国青年司法書士協議会としては、これを看過することは出来ない。
 また、不動産登記手続きにおける国籍の届出は、不動産登記制度本来の目的から逸脱するばかりか、登記実務の現場において、国籍という高度にセンシティブな情報をやり取りすることにより差別の危険性を生じさせるものである。
 本省令案には著しい疑義があり、もし政策上必要があるというのならば、それは不動産登記法の改正という形で国会において慎重審議されるべきであるから、当協議会は本省令案に反対する。
                                         以上

出典:「不動産登記規則の一部を改正する省令案に関する意見募集」
   (e-Govパブリックコメント)