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「司法書士による任意整理の統一基準」に基づく任意整理の尊重を強く求める会長声明を発出いたしました

2026.03.03

「司法書士による任意整理の統一基準」に基づく任意整理の尊重を強く求める会長声明

全国青年司法書士協議会
会 長 加藤 圭

1 声明の趣旨
(1) 司法書士が受任した任意整理における和解交渉において、貸金業者等各社が、「司法書士による任意整理の統一基準」を尊重し、①発行手数料等の名目で取引履歴の開示に条件を付することを厳に慎み、②遅延損害金並びに将来利息を付さないことを強く求めるとともに、その監督官庁においては、任意整理実務の実情を踏まえつつ、上記基準の趣旨が損なわれることのないよう、適切な対応が講じられることを強く期待する。
(2) 司法書士は、「司法書士による任意整理の統一基準」に則った任意整理業務の遂行を厳守し、多重債務者の経済的更生及び生活再建に資するという任意整理の趣旨をあらためて自覚したうえで、誠実かつ適正な職務遂行に務めるものとする。

2 声明の理由
(1) 任意整理は、多重債務者の生活再建を通じて社会全体の安定に資する、極めて公共性の高い法律事務である。
2004年6月25日、日本司法書士会連合会は、第65回定時総会において、「司法書士による任意整理の統一基準」を求める決議を採用した。
 この基準は、司法書士が多重債務者の任意整理に関与するにあたり、開示された取引履歴に基づいて残元本を確定し、和解の締結においては原則として遅延損害金並びに将来利息を付さないものと定めている。
 司法書士は、この基準に基づく任意整理を通じて、多重債務に苦しむ国民の生存権及び幸福追求権を擁護することに努めてきた。
 なお、弁護士会等においても、同趣旨の任意整理基準が採用されており、債務整理における取引履歴の全面的開示及び遅延損害金・将来利息を付さない和解の在り方は、債務整理実務における共通の理解として定着してきた。
 上記の決議からすでに20年以上が経過し、その間には出資法・利息制限法の改正による上限利息の引き下げや総量規制の導入などもあって、多重債務者の数は当時に比して大きく減少はしているものの、2021年以降その数は増加に転じ、2025年3月末時点においては約147万人にまで急増しており、多重債務を整理して経済的更生を図る必要性は従前と何ら変わるものではない。
(2) 任意整理は、法令に基づく倒産手続ではないものの、その根底においては、破産法、民事再生法及び特定調停法等の倒産法制と同様に、債務者の経済的更生を図るという理念を共有するものである。
 すなわち、倒産法制はいずれも、債務者の債務の整理を通じて、その経済生活の再建又は再生の機会を確保することを目的としており、単なる債権回収の手段ではなく、社会全体の安定と公共の利益に資する制度として位置づけられている。
 司法書士が関与する任意整理においても、これら倒産法制の趣旨を十分に汲み取り、債務者の自助努力による生活再建を実効的に支援するという観点から、公正かつ合理的な和解が図られるべきである。
(3) しかしながら、近時、任意整理業務において、一部の貸金業者等が、司法書士からの受任通知に対して、取引履歴の開示について発行手数料等の名目で費用負担を求め、その支払いがなければ取引履歴の開示に応じないという事例や、遅延損害金又は将来利息の付加を前提とした和解案を提示する事例が散見されるにとどまらず、そもそも分割払いによる任意整理には一切応じないという対応を示す貸金業者等すら存在する。
 これらの対応は、「司法書士による任意整理の統一基準」の趣旨に明確に反するのみならず、債務者の経済的更生を著しく困難にし、ひいては任意整理そのものに対する社会的信頼、期待を損なうおそれがある。
 取引履歴の開示は、任意整理にとどまらず、債務整理実務全般において債権債務関係を適正に確定するための前提であり、これに条件を付することは、任意整理の公正・公平な実現を阻害するものであって、到底看過することはできない。
 また、遅延損害金や将来利息の付加を前提とする和解や、取引履歴の開示を不当に制限する対応は、債務者の再生可能性を著しく損なうものであり、倒産法制が長年にわたり築いてきた法理念にも逆行するものと言わざるをえない。
 さらには、将来利息の付加により、債務者は任意整理後も長きにわたり返済に苦しむこととなり、債務整理そのものを躊躇するという結果に繋がりかねないことも懸念される。
(4) 司法書士は、任意整理を単なる私的交渉として矮小化することなく、倒産法制に通底する再生理念を正しく理解した上で、債務者の経済的更生に資する実務を遂行すべき専門職である。
 他方で、任意整理を受任する司法書士の中においても、「司法書士による任意整理の統一基準」について十分に理解せず、貸金業者が提示する遅延損害金又は将来利息を付した和解案に安易に応じるなど、同基準の趣旨に反する対応が一部に見受けられる。
 このような対応は、債務者の経済的更生を損なうのみならず、司法書士による任意整理実務全体に対する社会的信頼を低下させるおそれがあり、今一度、自戒の念をもって同基準と真摯に向き合う必要がある。
 司法書士は、多重債務問題の解決において重要な社会的役割を担う専門職として、同基準の意義と公共性をあらためて認識し、債務者の生活再建を第一に考えた適正な任意整理業務を遂行すべき責務を負っている。
(5) 当協議会は、これまでも、多重債務問題の解決に取り組む司法書士の立場から、国民の権利擁護と生活再建のための活動を重ねてきた。
 今後も、「司法書士による任意整理の統一基準」の意義をあらためて確認するとともに、関係各方面に対してその遵守を強く求める必要があると考え、本声明を発出するものである。