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意見書・会長声明等

「カジノ管理委員会関係特定複合観光施設区域整備法施行規則案」に対する意見

2021.05.08
パブリックコメント

「カジノ管理委員会関係特定複合観光施設区域整備法施行規則案」に対する意見

 

2021年5月8日
全国青年司法書士協議会
会長 阿部健太郎

 長年にわたり,ギャンブル依存症者を含む様々な多重債務者に対する支援に取り組んできた当協議会は,特定複合観光施設区域整備法(いわゆるカジノ実施法)について一貫して反対の立場である。

 日本は,競馬,競輪などの公営ギャンブルの他,スロットマシーンやパチンコなどのギャンブルマシーンが身近な娯楽として浸透しており,2020年10月に発表された,Gaming Technologies Associationの報告書である「World Count of GAMING MACHINES 2019」によれば,世界のギャンブルマシーンの約56%を保有するギャンブル大国である。このため,ギャンブル依存症者と疑われる方は,調査によって数字は異なるが,2014年厚生労働省発表によれば536万人と言われている。
 我々司法書士は,多重債務問題を扱う中で,ギャンブルのために多額の借金を抱え,家庭,親族関係,友人関係などが崩壊していく様を目の当たりにしてきた。
 国は,長年,ギャンブル依存症を個人の問題として放置してきた。近年,ようやくギャンブル依存症対策を国も進めるようになったが,まだ端緒についたばかりである。このような状況で,IRカジノの導入が強引に推進されてきた。
 IRカジノもギャンブル依存症者を生み出すことは明らかである。しかも,カジノは富裕層の娯楽というイメージがあることから,公営ギャンブル,パチンコ等とは違う顧客層が生まれると考えられ,その被害は拡大する恐れが高い。このような副作用を軽減するためにギャンブル依存症対策を講じるように法律に明記されている。しかし,これは,IRカジノという新たな毒を盛りながら,毒を薄め,解毒することを目指すようなものであり,現状より改善することは望めず,根本的な問題解決になっていない。
 当協議会は,ギャンブル依存症者が増えてしまうことのほか,IRカジノを日本の観光資源とする必要はないこと,社会的負担が増大するため地域経済が疲弊してしまうこと,違法性阻却事由が認められないと考えられること,マネーロンダリングに利用される恐れがあること,治安悪化のおそれがあることなどの理由から,IRカジノ導入を認めるべきではないと考えている。
 しかし政治が動いてしまい,規則の制定という段階に入ってしまった。
 せめて,上述したような問題点が少しでも改善されることを願い,「カジノ管理委員会関係特定複合観光施設区域整備法施行規則案」について,次の通り意見を述べる。

【意見の対象】
(法第六十八条第一項の規定による報告)
規則43条1項
【意見の趣旨】
報告は申出があれば即時にするようにし,またその情報をカジノ事業者間で共有できる仕組み
を導入すべきである。
【意見の理由】※意見全文をご覧ください。

【意見の対象】
(規則案に規定なし)
【意見の趣旨】
規則において1日あたりの最大利用時間及び利用金額の上限を定め,それを明記するべきである。
【意見の理由】※意見全文をご覧ください。

【意見の対象】
(規定案に規定なし)
【意見の趣旨】
規則中,貸金業法第13条の2の規定と同様の規定を設け,カジノ事業者が顧客に対し特定資
金貸付業務を行なう場合は,過剰貸し付けを禁止するべきである。
【意見の理由】※意見全文をご覧ください。

【意見の対象】
(規則案に規定なし)
【意見の趣旨】
「不動産担保を含む担保提供を伴う融資を禁止する」との規定を設けるべきである。
【意見の理由】※意見全文をご覧ください。