'20-05-18 「検事長の勤務延長に関する閣議決定の撤回を求め、 検察庁法の一部改正に反対する会長声明」を発出いたしました。

検事長の勤務延長に関する閣議決定の撤回を求め、検察庁法の一部改正に反対する
会長声明




2020年5月18日

全国青年司法書士協議会
会長 川上真吾

1.検事長の勤務延長に関する閣議決定
令和2年1月31日、政府は、同年2月7日付で定年退官予定であった東京高等検察庁検事長について、国家公務員法(以下「国公法」という)第81条の3の規定によりその勤務を6か月延長する閣議決定(以下「本件閣議決定」という)を行った。
検察官は、時の総理大臣をも逮捕する巨大な捜査権限を有するとともに、刑事事件における起訴を独占し(起訴独占主義)、訴追するか否かの裁量が与えられている(起訴便宜主義)。このことから検察官は準司法機関とも呼ばれ、刑事司法の公正さを保つため、三権分立の観点から高度の政治的中立性が要請される。この特殊性から、国公法附則第13条に基づき同法の特別法として検察庁法が定められ、同法第22条で定年年齢を検事総長65歳、その他の検察官を63歳と一律に定めている。政府答弁でも国公法第81条の3第1項の勤務延長は検察官には適用されないとされてきた。
ところが政府は、従来の確定した法解釈の変更という重大な事項を、口頭決裁という前代未聞の手続きによって行い、本件閣議決定をなした。内閣は法解釈をする権限を有するが、無制限ではなく、法令の範囲内に限られる。本件の法解釈の変更及び本件閣議決定は、検察官の特殊性を無視し、解釈の範囲を逸脱した違法なものである。よって本件閣議決定は法的な基礎を欠き撤回されるべきである。

2.検事の勤務延長に関する検察庁法の一部改正
 政府が今国会に提出している「国家公務員法等の一部を改正する法律案」は、全ての検察官について定年年齢を65歳へと引き上げると共に、役職定年制を導入するものである。ところがこの定年制は、年齢により一律に適用されるものではない。すなわち、法務大臣又は内閣がその裁量により、役職定年を延長することができ、さらに65歳の定年を超えて最長3年定年を延長できるものとしている(検察庁法改正案第9条第2項ないし第6項、第10条第2項、第22条)。
 年齢によって一律に役職定年又は定年とするのではなく、法務大臣又は内閣の判断により勤務延長又は定年延長することができる規定を置くことは、検察官の人事における内閣の介入を許し、検察官の公正性、独立性を害し、ひいては国民の刑事司法に対する信頼を著しく毀損するものである。これは、準司法機関としての権能及び職責がある検察官の政治的中立性が失われ、三権分立の原則が脅かされることとなるため、到底認容することができない。

3.拙速かつ不十分な審議
 政府は、本改正案を他の改正案と一括して「国家公務員法等の一部を改正する法律案」として令和2年3月13日閣議決定し、衆議院に提出した。同法案は、衆議院内閣委員会において同年4月16日に審議入りし、今まさに採決されようとしている。
しかし、本改正案は前記した通り非常に大きな問題があることから、その立法事実の確認等には慎重な審議を要求される。国民の中では法案の妥当性について危惧を抱く大きな声が上がり、各方面から反対意見が表明されている。この声を一顧だにせず、拙速かつ不十分な審議により本改正案を実現して検察庁法を改正することは、断じて許されない。

4.結語
 以上の通り、当協議会は、
 (1) 検事長の勤務延長に関する本件閣議決定に反対し、政府にはその撤回を求める。
 (2)「国家公務員法等の一部を改正する法律案」のうち、法務大臣及び内閣がその裁量により、検察官の勤務延長ないし定年延長ができるとする部分に反対する。
 (3) 衆議院内閣委員会において同法案をこのまま採決することに反対する。
                            以上


声明本文は下記よりご覧ください。


検察庁法改正案に反対する会長声明 はこちらから。

<< 前へ 次へ >>