'13-10-02 「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)」に対する意見書

全青司2013年度会発第61号
2013年10月2日



「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)」に対する意見書





内閣総理大臣 安倍晋三様
復興大臣 根本匠様
衆議院議長 伊吹文明様
参議院議長 平田健二様
総務大臣 新藤義孝様
法務大臣 谷垣禎一様
外務大臣 岸田文雄様
文部科学大臣 下村博文様
厚生労働大臣 田村憲久様
農林水産大臣 林芳正様
経済産業大臣 茂木敏充様
国土交通大臣 太田昭宏様
環境大臣 石原伸晃様
内閣府特命担当大臣(防災)古屋圭司様
原子力規制庁長官 池田克彦様
消費者庁長官 阿南久様

全国青年司法書士協議会

会 長 谷 嘉浩

東京都新宿区四谷1-2 伊藤ビル7F

TEL03-3359-3513 FAX03-3359-3527

e-mail KYW04456@nifty.com

URL http://zenseishi.com/



 当協議会は、全国の青年司法書士約3200名で構成され、「市民の権利擁護及び法制度の発展に努め、もって社会正義の実現に寄与すること」を目的とする団体である。
 当協議会では、福島第一原子力発電所における未曾有の大事故発生以降、相談会開催などを通じ、全ての被害者に対し公正かつ迅速・適切に救済がなされるよう活動をおこなっている。

 ところで本年8月30日、復興庁から「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)」(以下、「基本方針案」という)が発表された。
 基本方針案は、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下、「支援法」という)第5条の規定により定められたものであるが、支援法の施行から今回の発表までに、1年2ヶ月もの期間を要したことは復興の観点からして問題であった。

 また、支援法では第2条において「被災者生活支援等施策は、支援対象地域における居住、他の地域への移動及び移動前の地域への帰還についての選択を自らの意思によって行うことができるよう、被災者がそのいずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない」との基本理念が謳われている。しかし、基本方針案には支援法の基本理念に反している部分があり、そのほかにも問題点があるので以下に意見を述べる。

1.基本方針の策定にあたり、直接被災者の声を聴くべきである。

 復興庁は、被災者の「意見を反映させるために必要な措置」(支援法第5条3項)として、基本方針案に対するパブリックコメントの募集期間を発表から2週間と設定した。各方面から多くの批判を受けてその期間は9月23日までと、当初の期間より10日間延長されたものの、依然として被災者が熟慮して意見を述べるだけの時間が確保されているとは言い難い。パブリックコメントを被災者の意見を聴いたとのアリバイとせず、十分な回数の公聴会を開くなどして、被災者の生の声を直接聴くべきである。

2.「支援対象地域」を「福島県全域に他県を加えた地域」に広げるべきである。

 基本方針案のⅡに規定される「支援対象地域」が、福島県中通り及び浜通り(避難指示区域等は除く)に限定されていることは狭きに失していると断ぜざるを得ない。法案の提案者は国会答弁において「支援対象地域」を「福島県全域に他県を加えた地域」と回答しており、基本方針案はこの意思に反している。
 支援法第8条では支援対象地域について、「その地域における放射線量が政府による避難に係る指示が行われるべき基準を下回っているが一定の基準以上である地域をいう」と定めている。
 したがって、基本方針においても「福島県中通り及び浜通りの市町村」だけが「一定の基準以上である地域」と考えるべきではない。

3.「被災者生活支援等施策」は、居住者・避難者・帰還者ごとに検討すべきである。

「被災者生活支援等施策」はほとんどが既存施策の寄せ集めにすぎず、本来、居住者・避難者・帰還者ごとに掲げられるべき施策についても概括的記載にとどまっている。
 基本方針案3頁「医療の確保」では、医療費の減免措置やニーズが高いとされる福島県外における具体的健康支援に言及するべきである。6頁「移動の支援」は母子避難に限られている上に移動手段が高速道路に限られている点は、移動の支援として範囲が狭すぎる。7頁「住宅の確保」では細切れになされる借り上げ住宅の供与期間延長だけでなく、長期的に安定した生活の本拠を築ける根本的施策が求められる。同頁「就業の支援」については、居住者に対しては一時的な復興・除染関係の雇用に偏ることのない長期的・安定的な雇用が必要なのであり、避難者・帰還者に関しても同様である。

4.基本方針では、居住・避難・帰還の実質的選択権を尊重すべきである。

 いずれの施策を取るにしても「国は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っている」(支援法第3条)のであり、冒頭に述べたように、支援法の基本理念は居住・避難・帰還の実質的選択権を尊重することである。政府はそのことを肝に銘じるべきであり、基本方針が、いずれかの選択のみを助長するような内容になることがあってはならない。

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