'13-09-24 婚外子相続分について民法改正を早期に求める会長声明をアップしました。

全青司2013年度会発第59号
2013年9月24日

婚外子相続分について民法改正を早期に求める会長声明

全国青年司法書士協議会
会 長 谷 嘉浩
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私たち全国青年司法書士協議会(以下、「当協議会」という。)は、全国の青年司法書士約3,200名で構成する「市民の権利擁護及び法制度の発展に努め、もって社会正義の実現に寄与すること」を目的とする団体である。当協議会は、9月4日最高裁大法廷の婚外子相続分違憲判断(以下、「違憲判断」という。)を受け、以下のとおり声明を発する。

声明の趣旨

国会は、今般の違憲判断を真摯に受け止め、婚外子相続分についての民法第900条第4号ただし書および戸籍法第49条第2項第1号の規定の削除、並びに所得税法第2条第1項第30号の寡婦について非婚の母も含める改正を速やかに行うべきである。

声明の理由

今般の違憲判断は、その理由において、昭和22年の現行民法制定時に比し、近年において、社会の動向、家族形態の多様化、それに伴う国民意識の変化などから個人の尊重がより明確に認識されるようになっており、両親が婚姻していたかどうかという子の側では如何ともし難い事情によって相続分は左右されるべきでは無く、その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきているということができる。よって、遅くとも平成13年当時には、婚外子相続分を嫡出子相続分の2分の1とする現行民法の規定が憲法14条1項に違反していたと指摘している。

我が国は、昭和54年「市民的及び政治的権利に関する国際規約」平成6年「児童の権利に関する条約」を批准した。この条約に従い、国際連合の関連組織である「児童の権利委員会」などから婚外子相続分の規定が差別的であるとして、その是正を求める勧告が度々なされている。
また、今般の違憲判断と同趣旨の判断を求める裁判が平成に入ってから数度起こされており、いずれも法廷内多数意見により現行民法の規定を支持する結果に終わったが、反対意見も多く付され、婚外子相続分についての規定が差別的であるとのメッセージが司法からも発せられてきた。
さらに、平成8年には、法制審議会から嫡出子・婚外子を分けること無く同じ相続分とする法律案要綱が法務大臣に答申されているが、現在まで改正は実現していない。

国際的にみても、今や嫡出子と婚外子の相続分に差異を設けている国はごく僅かであり、家族の領域においても国際化が進んでいる昨今において、日本が不平等な規定を固持し続ける理由もない。婚外子の割合が著しく高い欧米諸国と比較して、日本の社会が法律婚を尊重しているとの指摘もあるが、婚外子が法律上の差別を受けている現実があるからこそ、子供をもつカップルは法律婚を選択せざるを得ないともいえる。法律婚をどのように位置づけるかは、婚姻の条文にて対応すべき問題であり、同じ親から生まれた子に差異を設けることは、国による子に対する権利の侵害である。そもそも婚姻したり、子供を持ったりすることは、家族を形成する自由権であり可能な限りその自由が確保されるべき人権である。

国会は、条約批准から数えると30年以上、各方面から婚外子相続分規定改正のメッセージを度々受け取ってきたはずだが、いずれも改正に至ることは無かった。この間、婚外子の方々の相続分は差別的に扱われ、不幸な相続を生んできたのである。国会は、不作為を真摯に反省すべきである。

ところで、婚外子と婚内子との差別的取り扱いは相続の問題だけではない。非婚の母、いわゆる法律婚を経験したことがない母親の場合、所得税法の定める「寡婦控除」は適用されない(同法2条1項30号)。
この寡婦控除規定により、地方税、公営住宅入居資格及びその賃料、保育料等において、「非婚の母及びその子」は、著しい不利益を受けている。
本最高裁決定の趣旨から、「寡婦」に非婚を含めないことは、婚外子に対する合理性のない間接的な差別であることが明白となったといえる。「寡婦」に非婚を含める法改正が急務であり、同様に改めるべきである。

以上の理由から、当協議会は、国会に対し、声明の趣旨記載の通りの改正を行うよう求めるものである。

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